私は、通訳案内士と就労ビザ専門の行政書士、どちらの仕事の経験もあります。
もちろん、日常的に同時に2つの仕事をするのは無理な為、今は行政書士をしています。
ところで、私が通訳案内士の方から、よく質問されるのは、「語学力があれば行政書士(入管業務)に活かすことができて有利なのではないか?」ということです。
結論は「有利ではあるが、全てではない」です。語学力より「営業力」が大切です。
今回のブログでは、「語学力がある行政書士は、国際(入管)業務で有利か?仕事に結びつくか?」についてお伝えします。
あくまでも、私が個人的に思う事ですが、お話したいと思います。
当ブログ運営者は、大河ドラマ視聴歴40作品以上で、大河ドラマを見ることが趣味の就労ビザを専門としている行政書士です。
また、旅行の添乗員、中国語の全国通訳案内士でもあります。
大好きな大河ドラマ、資格を基にしている仕事、語学の経験をブログで発信しています。
行政書士の国際(入管)業務とはどんな仕事か?
行政書士の仕事の幅は、実に広いです。
その行政書士の仕事中のひとつが「国際(入管)業務」です。
「国際業務」というと主に「入管業務」をさします。人によっては「帰化申請」も「国際業務」の一部と考えているかもしれません。
それでは、まず、「入管業務」を簡単にご説明します。
外国人の方が、日本で生活したり、仕事をしたりするには必ず「在留資格」が必要です。
その「在留資格を」取得するには、管轄の出入国在留管理局に申請し、許可してもらわなければなりません。
その申請を、外国人や会社から依頼されて、取次業務などをするのが行政書士の仕事です。
この「入管業務」をするには、「行政書士」の資格をとってから、「申請取次行政書士」の資格も必要です。「申請取次行政書士」の資格は、日行連の研修を経て試験を受けることで取得できます。
この「申請取次行政書士」の資格については、日本行政書士会連合会のホームページから調べられます。
国際(入管)業務の行政書士は語学ができるのか?
お客さまが外国人なら、英語など、語学ができなければならないのでは?とか、
国際(入管)業務をやっている行政書士は語学ができるのか?とか、
よく聞かれます。
お答えとしては、そんなことは全くありません。
日本語だけで、入管業務をやっている行政書士はたくさんいます。
私もそうです。もし、語学が出来なくても、お客様に通訳を連れてきてもらえば良いです。或いは、こちらが通訳できる人にお願いすれば大丈夫です。
自分の経験談から:入管業務ではあまり語学は使わない
さて、私が就労ビザ専門の行政書士になろうと思ったのは、自分がボランティア通訳として行政書士の通訳に行ったのがきっかけでした。(その時のお話は以下の別ブログでご紹介しています)
その行政書士の方にお話を聞くと、「語学ができなくても別に困らない」とおっしゃっていました。
今は、私も同意見です。というのは、上記したように通訳を使うという方法もあります。
それに私の場合は、業務を始める前から、語学を行政書士業務に用いることは考えていませんでした。
なぜなら、営業ターゲットを、外国人の方ではなく、会社の責任者や人事部の人と考えていたからです。
ただ、通訳翻訳はやってみたいと思ったので、ホームページ等で案内したこともありました。ですが、お問合せはほとんどありませんでした。
国際(入管)業務をやっている行政書士はどんな人が多いのか?
ところで、私は、中国語が多少できます。その関係で、語学が出来る人や翻訳通訳、通訳案内士の友人、知人が多いです。
また、語学が堪能な行政書士の方や海外滞在歴、海外業務歴がある方や、国際結婚されている行政書士の知り合いもいます。
そこから考えて、入管業務をされている行政書士は、どんな人が多いのか?というと以下の1~3の様な方になります。
1,語学堪能者
特に英語がかなり出来る人が多いです。TOEIC900点以上、英検1級取得者、通訳・翻訳が本業の方など、親しくさせて頂いている方だけでも5人はいます。「超」がつく英語堪能者です。
また、英語と中国語、「資格」というよりは、どちらも日常的に話し慣れており「外国人だけ」をお客様にして、活躍している行政書士もいます。
2,海外滞在歴、海外業務歴がある方
会社で海外関係の業務をしていた方、海外で仕事をしていた、海外留学の経験がある、バックパッカーをしていた等はすごく多いです。私もここに入ります。
3,国際結婚している方
行政書士の中には、国際結婚している方もおられます。国際結婚している行政書士は、配偶者やお子さんの在留資格や、結婚・離婚など私生活関係のことに、親身にご相談にのれます。
ですので、国際結婚している行政書士の方は、入管業務は適職だと思います。
語学堪能な行政書士の方が入管業務の仕事に有利なのか?
次に、通訳案内士など、語学堪能者の行政書士の方が入管業務に有利なのか?
ということについてです。
結論から言うと、外国人をターゲットにする等、様々な集客方法が増えるので、そう考えるなら「有利」かもしれません。
でも語学力があれば、売上に直結するかと言えばそうではないと、私は思います。
これをお話する前に根本的な事①②を以下でお話します。
根本的な事①行政書士も個人事業主なので営業しなければならない
行政書士試験に合格して開業したとしても、わりとすぐ廃業する人も、少なくないのが行政書士の厳しい現状です。
それは、営業やマーケティングの勉強をせず、資格さえ取ったら何とかなると思っている人が多いからだと思います。
特に通訳案内士の人からよく聞かれるのは、
「行政書士の資格を取ろうと思っている」
「語学ができるので有利なのではないか?」
「どうやったら仕事がくるの?」等、けっこう「気軽なかんじ」で聞かれます。
ですが、「語学力」以前に「営業力とマーケティング能力」を付けないと、「行政書士」としてはやっていけないと思います。
なぜなら、行政書士も「個人事業主」だからです。
根本的な事②行政書士としてやっていくためには様々な勉強が必要
それに、行政書士としてやっていくためには、様々な勉強が必要です。
実務の勉強だけではありません。
ホームページで集客するなら、ネットの集客方法を知らなければなりません。
ホームページを専門家に作ってもらうにしても、相手は行政書士実務の素人なので、集客方法についてまで分からないのです。
ですから自分がしっかりネットでの集客方法を分かっていないと、ホームページにお金をかけても無駄になるだけです。
そして、何度も言っておりますが、営業やマーケティングの勉強です。
また、確定申告を自分でする知識や、お金の管理等の勉強も必要です。
上記の根本的な事①②を理解し、勉強した上で、はじめて「語学力」が活きてきます。
語学堪能者の行政書士の方が入管業務に有利なのか?の答え
通訳案内士など、語学堪能者の行政書士の方が入管業務に有利なのか?についてです。
「最初に顧客開拓やネット集客をし、「語学力」を行政書士業務に上手く取り入れている」成功事例はよくあります。
また、外国人のお客様をターゲットにする集客方法も取れます。選択肢がふえるので、語学が出来ると、やはり有利だと思います。
それと、語学力だけではなく、海外での生活や留学経験も役立つと思います。
入管業務をやっていれば、お客様と話すときに親身になってお話できます。
自分も海外で苦労した経験があると、お客様の気持ちがわかるからです。
ですが、この「語学力」も「海外での経験」も、お客様が来てくれるという前提があって、初めて活かされます。
結局、通訳案内士など、語学堪能者の行政書士の方が入管業務に有利なのか?という疑問の答えです。お答えとして、「語学ができると、やはり有利だ」と思います。
ですが、「国際(入管)業務の行政書士はみんな語学ができるのか?」でもお伝えしている通り、外国語を使わなくても入管業務は出来ます。
行政書士が語学や海外経験を国際(入管)業務に活かすには?
それでは、具体的に語学をどのように活かすかという事です。
これについては、下記にも書きましたが千差万別です。
語学と異文化理解能力を武器に外国人コミュニティとつながる
TOEIC○点以上、英検○級等資格に関係なく、活躍している人も多いです。
日常的に外国語を使う異文化理解能力の高い日本人や、在日外国人の行政書士は、外国人コミュニティのつながりから顧客を探します。
語学を武器に、外国人コミュニティの中で顧客を広げていくのです。或いは、英語や中国語だけのホームページを作って、「外国人だけ」をお客様にしています。
この方法をとる場合、語学力だけでなく、外国人コミュニティとのつながりが必要です。
同業者との提携で通訳翻訳もする
外国人業務をしている同業者と提携して、翻訳通訳を出来るようにしている行政書士もおられます。この方法も、普段からマメに同業者と情報交換しておく必要があります。
行政書士はできる仕事の幅が広い:自分独自のサービスを展開
行政書士業務は、できる仕事の幅が広いので、自分の今までの経験や得意分野が活かせます。その分、個性がでます。
語学力や海外での経験は、個性が出やすいです。ですから、自分独自のサービスの展開が可能です。その為、「行政書士」をきっかけに、別の分野に業務が広がることもあります。
行政書士の中には、多岐に渡った事業展開で、年商1億稼ぐ実業家のような行政書士もいます。
「資格さえあれば何とかなる」と安易に考えていると廃業という厳しいことになりかねません。でも、しっかりと勉強して取り組めば、夢は広がるし、楽しい仕事です。
それは、入管業務だけに限りません。行政書士の仕事は、語学や海外経験を活かし、収入に結びつける方法は、自分次第で作り出せると思います。
行政書士と通訳案内士どちらの資格も持っている人の仕事
ところで、行政書士と通訳案内士どちらの資格も、持っている人はけっこういると思います。ですが、私を含めて、やはりどちらかの仕事になってしまうのではないでしょうか?
例えば、
- 語学や海外経験を活かして入管業務をする行政書士
- 行政書士の実務を活かした翻訳通訳をする通訳案内士
です。
日常的に、両方同時にすることは難しいと思います。
どちらの仕事も、かなり専門的な勉強や経験が必要です。ですから、片手間では出来ないのです。
私は、初め旅行シーズンは、通訳案内士とインバウンドの添乗員をするつもりでした。そして、それ以外の時期は行政書士をするつもりでした。
しかし、とんでもない甘い考えでした。
通訳案内士と行政書士・語学力は行政書士国際業務の仕事に有利?:まとめ
今回は「語学力は行政書士国際業務の仕事に有利か?」ということについて書かせて頂きました。
結論は、外国人をターゲットにする等、様々な集客方法が増えるので、「有利」かもしれません。ですが、外国語を使わなくても入管業務は出来ます。
ですので入管業務にご興味のある方は、是非挑戦してほしいです。
ただ、大前提として、行政書士をやるなら、まずは個人事業主としてしっかり事務所経営をしなければなりません。
お客様を呼ぶ仕組みを作らなければなりません。語学に自信がある方でも、お客様あっての「語学活用」ということを忘れないで頂きたいです。
それでは、以下のことを「まとめ」にさせて頂きます。
- 語学ができなくても国際(入管)業務はできる
- 語学ができるだけでは収入に直結しない
- 行政書士でやっていくなら語学力より営業力・マーケティング能力が優先すべきスキル
- 国際(入管)業務だけでなく、行政書士の仕事は、語学や海外での経験を活かし収入アップは自分次第。
- 国際(入管)業務に限らず、行政書士の仕事は、しっかりと勉強して取り組めば事業展開ができる。
「行政書士」は、他士業と比べて「見習い」期間がない人が多いです。
いきなり独立開業という人がほとんどです。厳しいですが、その分やりがいがあります。
是非頑張ってください!
このブログが読んで下さった方のお役に立てましたら幸いです。