前回は、「添乗員の仕事は通訳案内士の仕事に役立つ!」というタイトルのブログでした。
添乗員のお仕事は、通訳案内士の仕事に役立つということ、そして、それだけでなく、通訳案内士の仕事を紹介される事も多くなる、についてご紹介しました。
さて、今回のブログでは、「添乗員業務が通訳案内士の仕事に役立つ7つの理由」について、以下の添乗員と通訳案内士の共通業務からお話したいと思います。
1:訪問地を調べるリサーチ能力がつく
2:無料で訪問地の下見ができる
3:旅程管理が身につく
4:準備能力が身につく
5:ツアーに対する予測能力と判断能力が鍛えられる
6:ガイディング(大勢の前で話す)練習ができる
7:接客スキルが身につく
当ブログ運営者は、大河ドラマ視聴歴40作品以上で、大河ドラマを見ることが趣味の就労ビザを専門としている行政書士です。
また、旅行の添乗員、中国語の全国通訳案内士でもあります。
大好きな大河ドラマ、資格を基にしている仕事、語学の経験をブログで発信しています。
理由①:訪問地を調べるリサーチ能力がつく
まず、最初の「添乗員業務が通訳案内士の仕事に役立つ」理由です。
訪問地(添乗地)のことを調べ、添乗する事を繰り返すと、リサーチ能力が身につきます。
- 必要な事を効率よく調べる
- お客様に寄り添う情報を予測して調べる
という能力でしょうか。
現場でナマの「必要情報」が得られ、リサーチする力がつきます。
ちょっと気付いた「必要情報」を二つほど挙げてみます。
お客様の年齢層に合った情報
担当するお客様の年齢層によって、添乗地の楽しみ方が違います。
その為、ガイディングの仕方が違ってきます。「必要情報」を以下にまとめました。
・訪問先での高齢の方にあった楽しみ方は?
・ご高齢の方のガイディングの仕方は?
(道の誘導、車いすの手配、トイレに洋式がいくつあるか、エレベータがあるか等)
・お子様がいる場合の楽しみ方は?
・お子様がいる場合のガイディングの仕方は?
(大人と子供が一緒に遊べる施設はあるか?料金は?等)
・赤ちゃんがいる場合、おむつ交換できるトイレや部屋があるか?
上記の囲みの中の「MEMO」枠にあるような事項について注力しながら必要情報を収集します。そうすれば、ガイディングも、お客様のニーズや希望する「お客様に寄り添うおもてなし」につながるはずです。
訪問先に自由散策がある場合の情報
それから、自由散策がある場合です。最低でも以下を調べて頂ければ良いと思います。
・トイレの場所やトイレの構造(和式様式、男女の数、トイレットペーパーなど)
・時間を最も有効に使う楽しみ方は?
(遊べる施設があるのか、散策できるのか、お土産は買えるのか)
・乗り物や施設がある場合、料金はかかるのか?
このように、調べることは多く、客層によっても調べるポイントは違ってきます。
理由②:無料で訪問地の下見ができる
次に、現地に行くと、訪問先への事前打ち合わせだけではわからない、添乗先のことが調べられます。
上の「気付きメモ」と重なる部分もありますが、例えば、
- お客様の年齢層に合わせた道のご案内(平坦なのか、勾配はどのくらいか等)
- お土産の種類、お土産屋さんにある試食の味、散策の時の距離感など
- 美術館などの場合:美術館にあった絵画はどのような画風だったか、誰の作品か
- テーマパークの場合:乗り物や施設の楽しみ方のご案内、お客様用地図はあるのかなど
- 果物狩りの場合:果物の摘み方や服装や注意事項
これらは実際自分が行かなければわかりません。打合せの時に現地に聞くだけよりも、自分で体験した方がよりリアルにお伝えできます。
実際に経験したリサーチで、お客様の満足度もかなり上がります。この「無料で訪問地の下見ができる」という経験は通訳案内士のをするに当たって貴重な財産となります。
ちなみに、果物狩りは外国人の方にも大変人気です。機会があればこちらから提案しても喜ばれるかもしれません。
理由③:旅程管理が身につく
ところで、添乗員の仕事の基本の1つは、旅程管理を行う事です。
決められた通りにツアーを行い、準備段階や当日のツアー中など、何をすべきか前もって考え行動できる添乗員。この「旅程管理」の技術は、通訳案内士の業務を行う時も必要とされる場合が少なくありません。
現在のインバウンド需要からも、どの旅行派遣会社も「語学のできる添乗員」や「旅程管理のできる通訳案内士」は、とても必要な人材です。添乗員の経験を重ねると、旅程管理が身に付きます。
では、添乗員業務のツアーの流れはというと、
1,添乗の準備
2,添乗本番
3,添乗金の精算と報告
上記1,2,3で成り立っています。
まず、1の準備段階で決められた予定通りに、ツアーが遂行できるようにしっかりと打合せをします。
そして2の本番でも、ドライバーさんはじめ、立ち寄り先に予定通りの旅程管理が行えるように、協力して頂かなくてはなりません。
添乗員の仕事は厳しいこともあるので大変です。でも、旅程管理が身につくと、通訳案内士の仕事も心に余裕をもって楽しくできるようになります。
理由④:準備能力が身につく
さて、旅程管理を行うためには、準備が思う以上に大切です。
添乗業務をこなしていくと、どんな準備をすればツアーの予定通りに行えるかわかってきます。
バスツアーの中でも、途中で列車やタクシーに乗り換えるなど、難しいツアーもあります。
ですが、前に同じツアーに行った添乗員さんのレポートを読んだり、その添乗員さんにお話を聞いたりして準備をしておきます。
これを繰り返すとツアーに対する準備能力が身に付き、自分にも余裕ができます。そして、それがお客様満足度にも必ずつながります。
通訳案内士もそうかもしれませんが、ツアーが成功するかどうかの8割は「準備」にあると私は思っています。この準備能力は、通訳案内士の仕事の準備にもかなり役立ちます。
理由⑤:ツアーに対する予測能力と判断能力が鍛えられる
ところで、ツアーでは何が起こるかわかりません。それは添乗員も通訳案内士も同じです。
比較的起こりやすいと考えられる事を、以下に挙げてみました。
などがあります。
添乗業務でこれらのハプニングに遭遇すると、これらにどう対処するかの対応力と度胸がつきます。
これらは病気以外はある程度予測したり、起こった時の対処方法を準備することが可能です。
通訳案内士の業務中にこれらの事態が起きたとき、添乗員で同じような経験があるのとないのとでは、動きや気持ちがかなり違います。
添乗業務をある程度やっていれば、不測の事態への対応力も身につきます。ですので、通訳案内士の仕事でハプニングに遭遇した場合の対応力と度胸が身につきます。
理由⑥:ガイディング(大勢の前で話す)練習ができる
それはそうと、添乗員は人前で話すことが多い仕事です。通訳案内士も同じく、人前で話す仕事です。ですので、添乗員業務を経験することで、お客様を前に話すことに慣れてきます。
通訳案内士のお客様は少人数なことが比較的多いです。でも時には、バス1台任されるということもあります。
添乗員としてバス1台任されて話すことに慣れていれば、通訳案内士のガイディングの訓練となるでしょう。
もし、人前で話すのは慣れているから大丈夫と思っていても、添乗員の仕事は時間との闘いになることもしばしばです。そのため、焦ってイザという時、意外に言葉が出てこないという事が、実はよくあります。
そんな切羽詰まった場合でも、平常心で話さなければ事故につながることもありうるのです。
その為、40人前後の人前で話し慣れている添乗員の経験は、通訳案内士の仕事に役立つと言えます。
理由⑦:接客スキルが身につく
では、最後の理由は、接客スキルについてです。
通訳案内士にとって、接客スキルは必要不可欠です。
しかし、通訳案内士を目指している方は、接客に慣れていない方が少なくないです。通訳案内士の方や通訳案内士を目指している方は、「接客」よりも「語学力」に注力している方が多いです。
接客経験が少ない方や苦手な方は、添乗員業務で少し慣れておかれた方が良いかと思います。
自分が良かれと思っても、それがお客様にとってベストとは限らない事もあります。いろんな方に接して慣れておく方が良いでしょう。
私の体験:接客業に慣れていても予測できないお客様の不満
私は、営業や接客の仕事の経験が長いので、接客に関しては慣れているつもりでした。ですが一度、予想外に「えっ?」と思う出来事がありました。
その時の添乗は、日本人ツアーの中に香港人のお客様が1組入ったツアーでした。バスの前で日本語で案内をした後、香港人のお客様の席に行って、中国語で案内をしていました。
ツアーの最後のアンケートで、香港人の前席の日本人のお客様に、「不満」に〇を付けられました。(席順にアンケート回収したので、そのお客様が香港人の方の前の席だとわかりました。)
私は、それまで「不満」に〇をされたことがありませんでした。その上、予測不能な「不満」だったため、かなりショックを受けました。
いちいち香港人のお客様の席に行って案内したのが「特別扱い」に思えたのでしょうか?でも、こればかりは仕方ない、と自分を納得させました。
それにしても、日本人のお客様から「不満」を頂戴するとは、、、。
他の日本人のお客様からは「外国のお客様にも外国語で丁寧に接客している」と評価して頂けました。ですが、この時ばかりはちょっと悩みました。
添乗員業務が通訳案内士の仕事に役立つ:まとめ
今回のブログでは、「添乗員業務が通訳案内士の仕事に役立つ7つの理由」について、以下のお話しをしました。
1:訪問地を調べるリサーチ能力がつく
2:無料で訪問地の下見ができる
3:旅程管理が身につく
4:準備能力が身につく
5:ツアーに対する予測能力と判断能力が鍛えられる
6:ガイディング(大勢の前で話す)練習ができる
7:接客スキルが身につく
添乗員業務が通訳案内士の仕事に役立つ事が、お分かりいただけたのではないでしょうか?
通訳案内士のお客様は外国人です。添乗業務を経験してみれば、添乗地やお買い物のご案内、接客トーク等を外国語で話す練習をすることができます。それらを翻訳してマニュアル本を作ったりもできます。
添乗員業務と通訳案内士の仕事を経験しておけば、2025年の大阪万博に向けての準備にもなるかもしれません。
尚、通訳案内士やアテンド通訳(中国語)について、ご興味のある方は以下のブログをご覧頂ければ大変嬉しいです。
このブログが読んで下さった方のお役に立てましたら幸いです。